天正四四八年 水無月弐拾陸日
青山占領地に攻め入ってきた豊臣軍を西浦の絶唱で打ち払った本願寺一行。然し此れで力を使い果たしたか、其れとも絵好婆の守護を信じたか、また将高津の側に付くと、男は語る。
だが戦場より去る直前、歌術使いは云う。今の歌にて、徳川を刺激するやも、と。其の懸念は信憑性を帯びていた。ともなれば、徳川も絶対的番頭菅野を先鋒に置き、攻め込んでくるだろう。
なれば。高梨と盃を酌み交わしていた老師石川が立つ。此処は私が行こう。将高津も頷く。此度こそ勝利の手柄を授けよう。石川はゆるりと笑った。
翌日、未だ日が高い頃。西浦の予言通り、徳川軍が新潮盗賊団の屍を引き摺りながら来襲。
既に一戦終えた後か。休息は。問いに、要らぬと返すは徳川軍。お主らを潰しに来た。菅野は不敵に笑いながら云う。潰されるのは其方よ。返すのは石川。此処に開戦の火蓋は切って落とされた。
先に仕掛けたのは徳川軍。第二戦線、代官陽の爆撃により手疵を負った石川だが、負った手疵は只其れのみ。第六戦線迄を老獪に駆け抜け、徳川軍を斬桐舞。此れぞ老師の真骨頂である。
一方、本願寺一行は第五戦線に至るまで菅野から陣を奪えない。第二戦線には好機を演じたものの、戦果としては得られなかった。
だが第六戦線、本願寺貯蔵の火薬庫から待ちに待った火薬が届けられる。此れ幸い、武士坂口が火花を散らし、三散華山田は菅野を爆破。
未だ立ち上がる菅野だが、水軍指揮村上、優しき剛力羅、寺子屋王山崎が敵番頭を追撃。更には軍師嶋が斗論なる雷を呼び出し、遂に菅野を地に伏せた。
だが第七戦線、此れでは終わらぬと徳川軍は鉄球投げ梅野を攻める。軽くは無い傷を負った梅野だが、現れたるは中澤騎馬隊。即座に敵を射抜くと、梅野を拾って撤収を急いだ。
第八戦線は幕賀府、梅野による爆撃の影響か、途中にて倒れる。よく頑張った、和尚が其れを迎え、代わり立つ。
此の戦いで初めてとなる制武の機会である。つまりは、安心できぬ有利とも云う。
故に挑む。老師の手柄を決して絶やすな。全信徒の想いを背に受け、和尚は立つ。石山本願寺、勝利迄残るは首四つである。
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引用元: ・ ̄│石│山│本│願│寺│ ̄
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