おれ「勉強すればいいんじゃない?」
シャミ子「勉強したって頭良くなりません」
おれ「そんなことないよ」
🍑「シャミ子は私とテストで勝負したときに結構良い点取ってたじゃん」
シャミ子「はわ~……」
シャミ子「ダメなんです、私は偏差値が低くて」
おれ「いくつ?」
シャミ子「38ですぅ」
おれ「今のシャミ子はほぼ中国と言っていい」
シャミ子「ほぼ中国!?」
🍑「……ほぼブラジルじゃない?」
おれ「ほぼベネズエラかもしれない」
シャミ子「何を言っているんですか?」
おれ「発展途上国ってのは、国民一人一人の資産が低いから」
おれ「内需にまだまだ伸びしろがあるって話ね 貧乏人は物を欲しがるからね」
おれ「その点先進国はダメよ」
おれ「国民一人一人の資産が多いから内需に伸びしろがない」
おれ「成長の余地なし 他国から奪うしかない」
シャミ子「単刀直入に、成長の余地があるって言ってください!!!」
シャミ子「変な例え禁止です!!」
おれ「偏差値ってのはすぐ伸びる」
シャミ子「はわ?」
🍑「低ければ低いほど伸びやすいものだから」
シャミ子「え、なんでですか?」
シャミ子「低ければ低いほどバカなんじゃないですか?」
おれ「それは……、そうなのだが……」
🍑「シャミ子だって頑張れば10点くらい成績が伸びるじゃん」
🍑「私と勝負したとき伸びたよね?」
シャミ子「10点増えても全然ダメですよ」
シャミ子「🍑なんて100点取ってるのに」
シャミ子「私の60点が70点になったって意味がないです」
シャミ子「バカなままです」
おれ「まぁ、それはそうだが……」
おれ「しかし偏差値は努力すれば伸びるぞ」
シャミ子「はわ?」
おれ「まず偏差値の出し方って超簡単だからすぐ覚えてね」
50+(自分の得点-平均点)÷2
シャミ子「あ、算数だ、これ」
おれ「平均点が70点のテストがあって、シャミ子の点数が50点の場合」
50+(50-70)÷2
50+-20÷2
50+-10
50-10
40
おれ「はい、シャミ子の偏差値40!」
シャミ子「ああ……、いつもの私です……」
おれ「じゃあシャミ子点数を10点増やしてみようね」
シャミ子「はい」
50+(60-70)÷2
50+-10÷2
50+-5
50-5
おれ「はい、シャミ子の偏差値45!」
シャミ子「はわ~?」
シャミ子「偏差値45ってどれくらいですか?」
🍑「う~ん、学校のレベルにもよるけど日大の薬学部に入れるくらい?」
シャミ子「やくが!!!?」
シャミ子「私、薬学部に入れるんですか!!!?」
おれ「やったね、シャミ子、頑張り次第では薬剤師になれるよ」
おれ「薬剤師の年収は600万円くらいだよ」
シャミ子「ろっ!!!!!!?」
シャミ子「……、え、冗談ですか?」
おれ「真面目な話だよ……」
🍑「シャミ子は努力すれば成績が伸びることはわかってるし」
🍑「頑張り次第では偏差値50も夢じゃないよ」
シャミ子「はわ……、はわわ……」
おれ「軽い気持ちで、一日一時間勉強してみたら?」
おれ「それで成績が伸びるようなら、勉強時間増やせばいいし」
シャミ子「はわ、ちょっとやってみたくなりました」
🍑「えらい!」
シャミ子「私、頑張ります!」
🍑「じゃあまず筋トレをしようか」
シャミ子「なぜ!?勉強の話では!?」
シャミ子「おれさん、🍑が勉強の邪魔をします!」
おれ「これは🍑が間違っているね」
🍑「ふーん、おれくんには何か考えでもあるのかな?」
おれ「脳を活性化させるのは筋トレより」
おれ「マラソン🏃!」
🍑「う……、やるね、おれくん……」
🍑「じゃあシャミ子、朝フルをやろう」
シャミ子「やりません!朝からフルマラソンなんてやりません!」
おれ「しかし、シャミ子よ」
おれ「努力を過信してはいけないぞ」
シャミ子「はわ?」
おれ「こう聞くと、努力次第で偏差値なんて伸びると考え、高学歴をバカにする人間が出てくるが」
おれ「それは、人生で一度として全力で何かに取り組んだことのない人間だ」
シャミ子「……」
おれ「スポーツにせよ、学業にせよ」
おれ「何かに真剣に取り組んだことがあるやつは、努力では絶対に超えられない壁があることを知っている」
おれ「それは、一見成功している人間でさえも感じているのだ」
おれ「感じたことがない人間なんて、ウサイン・ボルトとか羽生結弦とか藤井聡太とかだ」
おれ「そして、そういう人間もまた、すべからく努力しているから、自分は才能で勝っているわけじゃないと主張する」
おれ「しかし、多くの人間は努力しても大成しないのだ」
おれ「球児が全員プロ野球選手になれないように」
シャミ子「……」
シャミ子「🍑も、そういうの感じたことあるんですか?」
🍑「あるよ、だって私、魔法少女のなかでは弱い方だし」
シャミ子「はわ……」
おれ「ほどほどに努力しなさい」
おれ「ほどほどに」
小倉「……」
おれ「あ、小倉さんいいところに」
小倉「なぁに?」
おれ「小倉さんは偏差値最高でいくらだしたことある?」
小倉「91」
シャミ子「!?」
おれ「これが超えられない壁だ」
🍑「おそろしいのは、たぶんこれで全力じゃないってことだよ」
小倉「こんなの真理からは程遠いよ」
終わり