夫「今日はいい天気だな」
息子「このところ、雨や曇りばかりだったしね」
夫「よし、久しぶりにパパとキャッチボールするか!」
息子「うん!」
夫「じゃあさっそく、グローブとボールを持って……」
息子「剛速球投げてやる!」
妻「ダメよ、キャッチボールなんて!」
夫「!」
ネトゲ廃人の完成
実際名門校は授業の質とか生徒の質全然違うし金あるならいいとこの付属の中学入ればそのままエスカレーターできるしね
公立はほとんど場合…なことが多い
夫「なんでだよ……いいじゃないか、たまには」
妻「ダメよ、勉強しなきゃ!」
夫「たまには息抜きだって必要だろ……」
息子「……」
妻「ダメ! 絶対名門中学に入れるんだからぁ!」
夫「分かったよ……キャッチボールはやめるよ」
夫「おーい、TVゲームやらないか」
息子「いいよ!」
夫「じゃあ、レースゲームをやろう」
夫「パパはこのキャラクターだ!」
息子「じゃあボクはこっちー!」
夫「お、やるなー!」ブロロロロ…
息子「でしょー!」ブロロロロ…
パパ「ファミレスいこうず。
息子「おk
ママ「キィィィ
妻「はいリセットォォォ!!!」ポチッ
息子「あっ!」
夫「なにするんだ! いいところだったのに!」
妻「いいところより、いい学校に入る方が大事よ!」
妻「ゲームなんて……絶対ダメ! 一日一時間も許さない!」
妻「名門中学に入れるまではね……!」
夫「……!」
息子「あー、お腹すいた」
夫「今日のご飯はなんだろうな?」
妻「ご飯よ」コトッ
息子「魚ばっかり!」
妻「魚にはDHA……ドコサヘキサエン酸がたっぷり含まれてるの」
妻「DHAは脳の記憶を司る海馬を活性化させるから、頭がよくなるのよ~」
夫「だからって、極端すぎやしないか……」
夫「トイレ、トイレ……」
ガチャッ
バタン…
夫「ふぅ……間に合った」
夫「……ん」
ビッシリ…
夫(うわ……暗記させるための紙がびっしりと貼られてる……)
夫(耳無し芳一かよ……)
夫「お、スマホやってるのか」
息子「うん!」
夫「面白そうなゲームだな。よーし、父さんもダウンロードして……」
妻「待ちなさぁい!」タタタッ
妻「スマホなんてやってる余裕はないのよ! これは没収!」バッ
妻「さあ、勉強勉強! 目指すは名門中学!」
夫「……」
夫「おーい、漫画買ってきたぞ」
息子「あ、『竜滅の刃』だ! 今流行ってるんだよねー」
夫「ああ、面白いぞ。主人公が剣でバッタバッタと竜を倒すんだ」
息子「読みたい読みたーい!」
妻「待ちなさぁい! 漫画なんて読んじゃダメ!」
夫「!」
妻「今は剣より、ペンの時代なのよ! さあ、机に向かいなさい!」
妻「勉強! 勉強! 勉強ォォォ!」
妻「名門! 名門! 名門ンンン!」
息子「ママ、怖いよ……」
夫(なにが妻をここまでさせるんだ……!)
………………
…………
……
夫「な、なぁ……」
妻「なによ?」
夫「たまには……家族で旅行でも行かないか?」
妻「……」
妻「いいわね! 行きましょう!」
夫(絶対断られると思ったけど、よかった……)
夫「宿は予約したし、それじゃしゅっぱーつ!」
息子「やったー!」
妻「さ、行くわよ!」
夫「およそ電車で2時間……のんびり揺られていこう」
息子「うん!」
夫(息子も嬉しそうだ)
夫(一泊二日だが……これでだいぶ骨休めできるはず……)
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
妻「……」ゴソゴソ
夫「なんだ? おやつでも出すのか?」
妻「違うわよ。2時間もかかるのに、何もしないって手はないでしょ?」
夫「まさか――」
妻「そうよ、参考書の山!」ドサッ
妻「さ、電車の中でも勉強するわよ!」
夫「旅館に着いた!」
息子「古いけど、綺麗な旅館だね!」
夫「さっそく温泉へ……」
息子「わーい!」
妻「待ちなさい、勉強が先よ」
妻「温泉に入ったら、もちろんその柔らかくなった頭で勉強してもらうわ」
夫「うぐぐぐ……!」
……
夫(せっかくの家族旅行も、勉強合宿みたいになってしまった……)
夫「なぁ、なんでそんなに名門中学に入れたいんだ!」
妻「決まってるでしょ! 世間体のためよ!」
夫「な……!」
妻「そしてなにより、あの子の将来のためよォ!」
夫(なんて奴だ……!)
妻「私は絶対……ぜ~~~~~ったいに名門中学に入れるんだからァァァァァ!!!」
夫(ダメだ……説得は不可能だ!)
夫(かといって離婚もできない……このままこいつに従うしかないのか……!)
…………
……
……
……
妻「今日はいよいよ名門中学の試験の日ね」
夫「ああ」
妻「もし落ちたら……承知しないんだから!」
夫「あまりプレッシャーかけるなよ……」
……
妻「結果は……どうだった?」
夫「入れたよ……」
夫「名門中学に入れたよぉぉぉ!!!」
妻「やったわね、あなた!」
息子「よかったね、パパ!」
夫「ああ、あれだけ勉強して対策したかいがあった……!」
妻「無職でなかなか働かないあなただったけど……」
妻『いい加減働いてよ!』
夫『俺はね、働かないんじゃなく、自分の力を生かせる場所で働きたいの。しょぼいところで働きたくないの』
妻『例えばどこよ?』
夫『これでも教員免許持ってるし、たとえば名門中学とか……』
妻「これでやっと働いてくれるのね……」
息子「お疲れ様、ママ!」
おわり
奥さんマジお疲れ様です
有能ママだったか
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